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測るの物語 Vol.13

「断熱の惑星。」

人呼んで「断熱材と結婚した男」。建築物の温熱環境コンサルティングを行うグループ会社インテリックスTEIの代表・齊藤克也は、自他共に認める “断熱 ”マニアだ。海外のパッシブハウス認定取得をはじめ、自身でも断熱工法の型式認定を独学で(!)取得しているという実績はまさに─本人の言葉を借りれば、断熱を極めた(心熱き)変態である。

齊藤は言う。「わたしのヒーローは、北海道における建築環境の第一人者でもある荒谷先生(北海道大学名誉教授)。時代に先駆けてパッシブ理論を実践したことでも知られる彼の講演では、『わたしたちの住む地球自体が、大気という断熱材に守られた外断熱である』という話から始まります。とてもスケールの大きなこのエピソードを思い出すとき、私自身もインテリックスという企業を守る外断熱のような存在でありたいと思うのです」。

そんな齊藤が中心となって取り組んだのが、リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021において特別賞(省エネリノベーション普及貢献賞)に選ばれた「エコキューブ」。物件ごとに温熱計算を実施し、必要に応じて断熱と内窓、エアコンに加え全熱交換式第1種換気システムを組み合わせることで快適な室内環境を構築する高気密・高断熱リノベーションである。「エコキューブは夏涼しく、冬は暖かく、常に心地よい室内環境をつくり出します。これまで以上に快適かつ健康的に暮らすことができ、結果的にCO2削減につながる。日本人は我慢を美徳とする民族です が─無理をせず地球環境に貢献でき、家計の節約にもなる点がメリットです」。

集合住宅においては、これまで立地条件や価格を重視する販売手法が主だったために、性能面での進化が遅れていたと齊藤は言う。「たとえば『ランニングコスト』という明確なバリューによってトヨタのプリウスが消費者に選ばれたように、リノベーションマンションにおいても省エネ性という新たな価値観で選ばれる時代が来ていると思います」。

今後、エコキューブによるリノベーションはさらに着工数を増やしながら展開する予定だ。そこにも、彼なりの想いがあった。「エコキューブは、これまで24,000戸以上の実績を築き上げてきたリノヴェックスマンションの進化形です。不動産業界の慣例にとらわれず、よりよい住宅の普及によって日本のリノベーションの底上げを目指していくこと。それが、ナンバーワンたる企業の役割ですから」。インテリックスの未来に、齊藤が担う役割は大きい。

Illustlation : Toshimasa Yasumitsu