Intellex

Intellex Forum

Intellex Forum︱ 発見、京町家の意匠と魅力 ︱

京都の町並みを代表する「京町家」は、先人の知恵と粋が結晶した伝統的な木造住宅です。

京都の街を歩くと、古い木造住宅が建ち並ぶ風景に出会います。紅殻格子に瓦屋根。平安時代にその起源を持つ、日本らしい端正な佇まいを見せるその建物が「京町家」。そこには思わずじっくりと眺めたくなる美しい意匠があります。職住一体型の住まいの原型ともいわれる京町家。「うなぎの寝床」と呼ばれるほど間口が狭く、奥行のある敷地を生かした間取りが特徴です。商家であれば、商売を営む「見世(店)の間」があり、その奥に玄関がつくられることもあります。「卯建(うだつ)があがらない」という言葉を耳にしたこともあるでしょう。その語源となった、建物の端の壁を高く持ち上げて屋根を乗せた「卯建」。軒下にある緩やかなカーブを描く垣根は「犬矢来(いぬやらい)」と呼ばれ、馬が家の塀を蹴るのを防いだり、犬や猫などの放尿よけとしてあったそう。漆喰で塗り込まれた「虫籠窓(むしこまど)」は、火災が多かった江戸時代に防火対策として用いられたといわれています。そんな日本古来の生活や文化を伝える京町家ですが、近年その多くが滅失しています。インテリックスでは、そんな京都の歴史資産でもある京町家を保存し、新たに宿泊施設に再生する〈アセットシェアリング京町家再生〉事業に取り組んでいます。

快適な暮らしの知恵が息づく、京町家の見どころをチェック!
【京町家の一般的な間取り】

幅が狭く奥行が長いため、通り庭や坪庭をもうけ光や風を呼び込むつくり。

【格子】

外から見えにくく防犯の役割を果たす格子。家業によって様々な形があります。

【一文字瓦】

瓦の端を切り落としたようなカタチの瓦。町並みに統一感をもたらす効果も。

【火袋】

吹き抜けとなっている上部空間。室内の熱気や煙を排出し、採光を得られます。

【坪庭】

夏の暑さをしのぎ暮らしに自然を取り込む坪庭は、京町家に欠かせない存在。

【卯建】

延焼を防ぐ役割で、建物の両妻側の壁を持ち上げ屋根を乗せたもの。装飾的な意味も。