メニュー

立石史博さんの考える「豊かな暮らしと住まい」とは(前編)

2023.10.12 これからの住まい#エコ#サスティナビリティ#地方創生#環境問題#空き家対策

今回お話をお伺いしたのは、リノベーション専門誌「relife+(リライフプラス)」の元編集長で、現在は地域創生のプロジェクトに携わっている立石史博さん(以下、立石さん)。さまざまなリノベーション住宅や多くの方の暮らしぶりを見てきた立石さんが考える“幸せな暮らし”や人々の家や暮らしに対する価値観の変化など、住まいのプロ目線での“豊かな暮らしと住まい”についてお話をお伺いしました。

今、幸せを感じるのは、自然を肌で感じられる山でのひととき

多くのご家族の住まいや暮らしを通じて、リノベーションの魅力を伝えてきた立石さん。さぞご自身の住まいへのこだわりが強く、おうち時間がお好きなのかなと思いきや、立石さんが“幸せ”を感じるのはトレイルランニングをしているときだという。

「トレイルランニングはきれいに舗装されていない道を走るスポーツ。休日の朝、よく始発に乗って高尾山や秩父、奥多摩などに行き、山道を走っています。10数年前から街中などのロードを走ってはいて、ランニング仲間のなかでトレイルランニングをしている人が増えてきたので、興味もあったし自分もやってみようかなと思って始めました。とはいえ、ひとりで行って、ひとりで走ることが多いんですけどね(笑)トレイルランニングをしていて幸せを感じるのは、やっぱりたくさんの自然があるから。東京に自然は少ないっていうけれど、そんなのは東京23区の一部だけなんですよね。都心から少し離れるだけで、迷ったら帰ってこれないくらいの大自然が残っていることに、トレイルランニングを初めて改めて気付かされました。あと、山を走るときは、街中を走るときと違って落ちている石とか木の根とかに気を付けなきゃいけないこともあって、あれこれ考え事ができません。それもリフレッシュになっているんだと思います。たまにレースに出るとしんどくて『出なきゃよかった…やめたい…』と思う瞬間もありますけど、終わって振り返ると『いい一日だったな』と不思議と思えちゃうんですよね」

と、休日は非日常な山の魅力にどっぷりとはまっている立石さん。その一方、共働きゆえに平日の夕食は立石さんが作るようで、“家でちゃんとご飯を作って、子どもと一緒に食べること”が平日の日常の幸せなひとときなのだそう。

環境や食への意識が高いトレイル仲間たち

立石さんのトレイルランニングトークを聞いていて印象的だったのは、トレイル仲間の多くは環境問題や食への意識がとても高いというお話。

「大会はペーパーレス、ウェアはリサイクル素材など、トレイルランニング自体が環境に配慮したスポーツなんです。走ることも含め、そういったカルチャーが好きな人たちが集まっているので、環境や食に対しての全体的な意識の高さが肌で感じられるんでしょうね。自分の身体づくりと環境配慮との両方の理由から、炭水化物よりも脂質からエネルギーを摂ろうというファットアダプテーションやグルテンフリーに取り組んだり、肉は食べずにソイミートを愛用する人も多いです。肉の生産には多くの資源がかかっていますし、ソイミートを好んで選ぶ人はより環境意識が高いなと感じます」

ということは、立石さんもトレイルランニングをするようになって環境問題への意識が高まったのかと思い、どのようなことを意識して暮らしているのか聞いてみると、「でも、わたしは特に環境問題意識高くないんです(笑)」とのお答えが。

「もともとわたしは大量に消費したり、派手にCO2を出したりすることもなく、シンプルに暮らすタイプ。特に環境を意識してきたわけではありませんが、消費行動が控えめなのは結果的に個人レベルでは環境に良いのかもしれませんね」

と立石さん。そうは言っても、意識の高いトレイル仲間に囲まれていることもあって、“人々の環境への意識が高まっている”というマクロな変化は日々肌で感じているのだそう。

リサイクルに勝るエコは“長く使う”こと

立石さんのお話のなかに、トレイルランニングのウェアはリサイクル素材であったり、着ないウェアや洋服を回収してリサイクルしている、という話題があったが、立石さんとしてはやや疑問に感じるところもあるという。

「リサイクルするにも大量のエネルギーがかかるし、販売価格は決して安くないんですよね。だから、果たしてリサイクルは環境や消費者にとって本当にいいのかな、とふと思うんです。昔、週刊誌で車のページを担当していたのですが、車にとって一番エコなのは何なんだろうと考えたときに、それは“大事にメンテナンスをして、長く乗り続けること”なんじゃないかなと思ったりもしました。省エネなものに買い替えると消費エネルギーも排出ガスも減るけれど、代わりに大きなゴミが出ますし、トータルのライフサイクルで見た時にどうか、が大事だと思います。」

と、ご自身は“長く使えるものを選んで、長く愛用する”という暮らしをしてきたという立石さん。エコなものに買い替える、または今あるものを長く使う、どちらがエコかはトータルで見ないと判断は難しい。でも、立石さんは「いまは多様性の時代だし、どちらが正解というわけではなく、どちらの選択肢もいいと思う」と言う。

さて、次にお聞きしたのは、立石さんがリノベーション業界に携わりながら感じてきた「日本の住宅や住まいへの価値観の変化」。そして、現在、地方創生のお仕事を進めるうえで体感している「地方の住まいの問題点」について。

立石さんが語る“日本の住まい・地方の住まい”については、また後編で。

 

<プロフィール>

立石史博(たていし ふみひろ)

扶桑社が手掛ける住宅雑誌「住まいの設計」や「reLife+(リライフプラス)」の元編集長

現在は地方創生&多文化共生マガジン「カラふる」にて編集長を務め

各地方に住む人々やそこでの問題と向き合いながら地方創生事業に取り組んでいる。

後編を読む

『インテリックスグループのMISSION』

一人ひとりが住まいや暮らしに求める夢や想いと、めまぐるしい勢いで変化していく社会と、私たちが提供する商品・サービス・技術をつなぎ、一人ひとりに寄り添った身近な幸せのカタチをつくっていきます。
そのために、私たちは日々お客様が求めていること、社会が求めていることを測り続けます。

資料請求はこちら

個別相談はこちら

 

関連記事