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  • 30周年のその先へ
  • より機動的な経営に向け
    ホールディングス化に着手

これまで業界のフロントランナーとして様々な仕組みを導入してきたインテリックスは、30周年を機にホールディングス化への移行を決断しました。インテリックスはこの先どこに向かっていくのか、俊成社長にその真意を聞いた。

2025年12月にホールディングス化への移行を予定していますが、
どのような経緯があったのでしょうか

当社はマンションのリノベーションから始まり、アセットシェアリングやリースバックなどの金融サービス、「FLIE ONE」による不動産業界のDX推進など、さまざまな事業・サービスを展開してきました。事業が多岐に渡るということは、会社として柱が多くなり経営が安定することにもつながりますが、すべての意思決定を一つの企業が行うことで、経営判断のスピードが遅れてしまうこともあるでしょう。変化の激しい時代の中でも事業として深化していく必要がありますので、各事業の経営の責任者を明確にして、重要な意思決定をよりスピード感を持って進めていくべきと考えました。これは、次世代の経営者を育成していくという点でも有効でしょう。
それぞれの事業で経営責任者を据え、持株会社ではM&Aなどを含めた次のビジネスを検討していくことで、より強固な企業集団になっていくと考えています。30周年がひとつのきっかけではありましたが、どちらかと言えば、会社のステージを客観的に見たうえでの決断でした。

確かにインテリックスの事業は30年で変化をしました。
この先の10年を見据えた時に、
どのようなことが重要になってくるとお考えですか?

人材にまつわるところが、最も重要だと考えています。これまでは“両利きの経営”を掲げ、主軸事業を強くすること、そして新たな事業を軌道に乗せることに注力してきました。どちらも一定の成果を出すことができたと考えていますが、その陰には、多くの人の支えがあります。
たとえば、施工会社の皆さんです。先日、パートナーである施工会社の皆さまと対話する機会がありましたが、職人の高齢化が深刻であると改めて実感しました。若い方に現場を担っていただくには、これまでのやり方を見直していかなければならないでしょう。高齢化と人手不足はこの業界に限ったことではなく、すぐに解決策が出る課題ではありません。それでも、例えば設計と施工の役割分担を見直して当社のスタッフが研修で出向して現場のサポートさせていただいたり、運転資金を当社としてサポートしたり、できることはあるのではないか、と。また、職人の方々の収入を上げていくことも大切だと考えており、実際、価格を調整するケースも出てきています。
さまざまな事業を展開している当社ですが、やはり、根幹にあるのはリノベーションの技術です。優良物件があっても施工できる人がいなければ、リノベーション業界が広がっていきませんので、職人の方々のケアは今後ますます重要になってくると思います。

人材といえば、2026年5月期の重点方針で人的資本経営を
柱のひとつに掲げています。
エンゲージメントなど、従業員とどのように向き合っていきますか?

若手の従業員とランチ会を行うなど、できるだけコミュニケーションをとるようにしています。できるだけ本音を聞きたくて、管理職は同席させていません。もちろん、会話の中では本音もあれば、建前もあるとは思っています(笑)。ただ、この会社で働いている人たちが何を考えて、何を実現したいのか、また何を求めているのかという点は、経営者として理解しておきたいですね。話をしていると、『せっかくの縁で一緒に働いている』という思いや『会社を良くしていきたい』という考えは、皆が持ってくれています。会社としてベースアップなどを含めたさまざまな改革を進めていますが、本当に大切なのは、トップとして会社の方針をもっと発信して、お互いの理解・共感を深めていくことかもしれないと感じています。これは従業員だけでなくすべてのステークホルダーに対しても同じですが、どのようなビジョンを持っているのかをもっと明確に打ち出していこうと思っています。
ホールディングス化へ移行するタイミングでは、中期経営計画を発表させていただく予定ですので、その内容を含めて発信力を高めていきます。

それでは、今後、インテリックスはどのような会社になっていくのか、
俊成社長の考えを教えてください。

当社のVISONとして掲げている “すべての人にリノベーションで豊かな生活を”という言葉は、これからも、今後も変わらないでしょう。この言葉に、シンプルに集約させているつもりです。 VISIONにあるリノベーションとは、単純にマンションを再生させるということではありません。FLIEを例にあげると、不動産流通業界が抱えている課題をDXで解決するための新しい仕組みです。既存の仕組みをより良くすることも、当社が使う“リノベーション”という言葉には含まれているのです。「FLIE ONE」が業界のスタンダードになれば、仲介会社様と購入者も、互いにとってメリットが出るだけでなく、業界が活性化すると確信しています。また、アセットシェアリングについては投資する人と住んでいる人の双方が豊かになることが大切だと考えていますし、ホテル事業でいえば旅行者と地域の方々が交流によって良いひと時を過ごしてもらいたいという思いがあります。
設計、金融、流通と一見、まったく別のビジネスのように思えるかもしれませんが、あれもこれもやっていくというわけではなく、不動産という業界の中で『取り除く(ー)・加える(+)・イコール(=)・倍の価値(×)』でさまざまな仕組みをリノベーションしていきたいのです。そして、その付加価値によって、住む人・利用する人、そして関わるすべての人が豊かな生活を送れるようになるのが、私が見据えているゴールです。この点については、今後も貫いていこうと思っています。

循環型リノベーションモデル

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